個人の依存的な症状あるいは依存的な関係性である「共依存」の研究からはじめ、現代社会における病理的な関係性、依存症、家族問題などについて研究してきました。倫理学理論としては、「ケアの倫理」を専門としています。現代社会の具体的な問題をケアの倫理の視点から考察することで、今まで見逃されてきた/否定されてきた「倫理/人間の生き様」を明らかにすることが私の研究スタイルです。
日常を過ごすなかで、(他者や自己の)言葉にならない「苦しみ」や「想い」に出会うことがあると思います。倫理学・臨床哲学の営みは、それに一定の言葉を与え、「この苦しみ/想いは一体何なのか」「それはどのようなことを訴えているのか」「何が必要とされているのか」などに対する答えの一つを、これまでとは別の仕方で導く手助けをしてくれます。「言葉なき声」に耳を傾け、それをあえて学術的に言語化することでこそ見えてくるものについて考えていきたいです。
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【主な業績】
◆著書:単著
・『共依存の倫理――必要とされることを渇望する人びと』晃洋書房、2017
◆著書:共著
・Mariko
KONISHI, “Regards croisés entre l’éthique du care et le concept japonais
d’Amae,” Bourgault, S. & Perreault, J. (eds.), Le Care: Éthique Feministe Actuelle, Remue-Ménage, pp.261-273,
2015.
・小西真理子「共依存――依存的な関係性を考える(知のアート・シリーズ)」立命館大学生存学研究センター(監修)、渡辺克典(編)『知のフロンティア――生存をめぐる研究の現場』、pp.46-47、ハーベスト社、2017
◆論文
・「共依存と病理性――アルコホリックの妻を追う」、『生存学』、生活書院、vol.5、pp.151-165、2012年
・“What
is Enabling: A Study of Support Groups of the Tohoku Earthquake”『立命館言語文化研究』、立命館大学国際言語文化研究所、vol.24-4、pp.73-86、2013年
・「自己紹介に嗜癖する――ギデンズ、フーコーを手掛かりに」、『アディクションと家族』、日本嗜癖行動学会、vol.29-2、pp.149-156、2013年
・「『共依存』再考――フェミニズムによる批判の検討」、『倫理学研究』、関西倫理学会、vol.45、pp.123-133、2015年
・「ケアの倫理に内在する自立主義――相互依存・依存・共依存の検討を通じて――」、『倫理学年報』、日本倫理学会、vol.65、pp.265-278、2016年(第十回社会倫理研究奨励賞 審査員賞受賞)
・「DVにおける分離政策のオルタナティヴのために――リンダ・ミルズおよび修復的正義の視点――」『生存学研究センター報告24:〈抵抗〉としてのフェミニズム』、生活書院、pp.88-104、2016年
・「ケアの倫理における心理的なケア/依存――病理との関係をめぐって」、『倫理学年報』日本倫理学会、vol.67、pp.72-75、2018年
◆翻訳
・キャロル・ギリガン著、小西真理子訳「道徳の方向性と道徳的な発達」、『生存学』生活書院、vol.7、pp.
229-244、2014年
・ローズマリー・ラーナー著、小西真理子訳「文化的、イデオロギー的な遭遇と衝突の状況についての現象学的考察」、谷徹編『間文化性の哲学』、文理閣、pp.162-209、2014年
◆解題
・「【解題】キャロル・ギリガン」、『生存学』、生活書院、vol.7、pp.
245-251、2014年
◆所属学会
日本倫理学会、関西倫理学会、生命倫理学会、日本嗜癖行動学会
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