2021年8月23日月曜日

臨床哲学フォーラム(2020- )




2021年8月10日火曜日

開催案内(2021年10月1日)日本倫理学会・ワークショップ

第72回日本倫理学会

ワークショップ: 〈応用〉することの倫理 ――緊縛シンポ、ブルーフィルム、ジェンダー

日時:10月1日(金)18:00~20:00 ※オンライン開催


日本の哲学・倫理学分野では、1980年代に森岡正博が、著明な哲学者の権威的な文献の解釈や既存の概念の解説のみを行う哲学・論文を「おける哲学・論文」と名指したことを筆頭に、その文献解釈偏重傾向や輸入代理店的傾向が批判されてきた。それから40年近くを経た現在、日本倫理学会を含む業界の中心地で基軸となる動向が大きく変化したわけではないが、欧米圏からの応用倫理学の導入、臨床哲学の提唱、現象学的倫理学の試みなど、具体的問題をテーマとして論じたり、社会のなかで生じている問題にその現場からコミットしたりする哲学のあり方も少なからず見られるようになってきた。この流れのなか、21世紀最初の10年で、日本における応用哲学が産声を上げることになる。

『これが応用哲学だ!』(大隅書店、2012年)に記されているように、「哲学がこれまで論じてこなかった、その意味で哲学の『外部』にある具体的な問題を志向する」と宣言する応用哲学は、2008年の応用哲学会設立により周知され、その後も活発に取り組まれてきた。そこで応用哲学は、「『この現実についてのもの』でなければ、それは一種の虚構、パラレルワールドに関する単なる『物語』で終わってしまう」がゆえに、「何よりも『現実についての知』でなければならない」学問として説明されている。しかしながら、実際に応用哲学が行われる場面において、哲学は、多くの知を提供する権威をもった「ツール」や「リソース」として個々の問題に「適用」されがちであり、そこにおいて哲学(者)は、応用される事象や人びとよりも多くの「現実についての知」をすでにもっているかの如く振る舞い、そうした事象や人の生を哲学の問題を解くための格好の一事例として「利用」しがちである。そこでは、当該の事象や人びとから「学ぶ」ことが蔑ろにされており、ひいては偽りの言説を生産してしまうことも起こりうる。

哲学・倫理学に限らず、人の生とかかわるような研究がなされるとき、制度的な研究倫理に尽きない、研究をめぐる倫理についての慎重な考察が求められる。こうしたいわば「応用研究の倫理」については、臨床哲学を掲げた鷲田清一や中岡成文らによる、現場の哲学や〈応用〉することへの批判的検討、また、丸山徳次による水俣を対象とした応答倫理学の試みなど、先行する実践から多くの示唆が得られるはずだが、昨今、哲学を何らかの仕方で〈応用〉する者自身の手によって応用研究の倫理についての検討が公に行われているとは言い難い。

以上の問題関心から、本ワークショップでは、現代日本の哲学・倫理学分野における〈応用〉の事例をあげながら、そこで問われるべき倫理について検討する。第一に、奥田が、日本における応用倫理学・応用哲学の歴史をふり返り、〈応用〉の倫理的問題の概略を述べる。第二に、河原と小西が、緊縛を主題とした応用哲学的シンポジウムについて、そこで露わになった偽史の流布、マイノリティや当事者加害、事後対応の問題性について指摘することで、現在の応用哲学が抱える問題を可視化する。第三に、吉川が、一般社会のタブーと関わったり、当事者との関係が重視されたりするトピック(ブルーフィルムや水俣など)へのアプローチの経験を踏まえて、哲学の方法がかかえる困難や制約について報告する。以上の議論をつうじて、哲学・倫理学業界における〈応用〉することに生じる倫理問題について、参加者とともに我が事として考えたい。


司会:佐藤靜(大阪樟蔭女子大学)

提題1:「哲学分野における〈応用〉的試み初期の倫理問題を再訪する」奥田太郎(南山大学)

提題2:「緊縛シンポにおける偽史の流布」河原梓水(福岡女子大学)

提題3:「研究者による当事者加害の『その後』を考える」小西真理子(大阪大学)

提題4:「遠く離れて思考することの倫理」吉川孝(高知県立大学)


※参加には事前登録が必要です。第72回日本倫理学会大会HP(https://sites.google.com/view/jse2021taikai/)より参加受付を行ってください。非会員の方でも、ワークショップのみの参加の方は無料でご参加いただけます。


開催案内(2021年9月5 日)第3回日本哲学プラクティス学会・シンポジウム

第3回日本哲学プラクティス学会

シンポジウム:哲学プラクティス連絡会・哲学プラクティス学会共同企画 「哲学プラクティスの倫理」

日時:2021年9月5日(日)15:15〜17:45 ※オンライン開催


さまざまなところで哲学対話を行う実践が広がってきており、哲学対話が導入される領域やその目的、進行の仕方は実践する人によって異なりますが、哲学対話が、多くの人が参加し、自分について語り、交流する活動であるかぎり、対話の中やその前後で、対人関係のトラブルや発言による傷つきなどが起こる可能性があり、実際にそうしたことが問題になっているケースも存在します。また、教育現場や企業組織等、社会のいろいろな場所で哲学対話を行っていくにあたって、それが行われる場や組織の文化や仕組みとの齟齬をきたす場合もあります。

また、社会の様々な場所で哲学対話を行なっていくことは、対話や効果の質保証、アフターフォローや介入の知恵、導入される組織との協働の仕方、謝金のもらい方等、研究とは異なる実践者としての倫理や責任、知恵の蓄積が求められることでもあります。海外では、こうしたノウハウを持つプラクティショナーと、研究者とは一部重なりはしますが、一線が引かれています。日本では、哲学対話や哲学プラクティスを紹介した人々の多くが大学の哲学研究者であったことや、大学の哲学・哲学研究者のアウトリーチ活動と見做されることもあるため、哲学対話を実社会に導入し根付かせるための実践的な配慮や倫理、知恵の構築はなおざりになっているところがあるように見受けられます。このような実情は、実践者や現場の視野からは顕著である場合でも、研究者側の視野からは見えづらくなっている場合もあるのではないでしょうか。

このシンポジウムの目的は、社会のなかで哲学対話を行っていく上での倫理や責任について考えることではありますが、哲学プラクティスの倫理についての統制的なルールを策定することではありません。一般市民向けの哲学カフェ、教育現場での哲学対話、研究者が現場や実践に関わるときといったテーマで、現在はそれぞれが苦慮しながら対応している問題を共有し、対応する知恵(対応のしかたは、目的に合わせて多様でありえます)について交換すること、また、それを通じて、哲学対話を社会に根付かせるために、哲学プラクティショナーが果たすべき責任や倫理の問題について意見を交換したいと思います。また、哲学研究者の実践や現場への関わりについても、実践者・現場の人の様々な事情について丁寧に共有し、協働するしかたについて考えます。


登壇者:

山本和則(カフェフィロ)

小川泰治(宇部工業高等専門学校)

小西真理子(大阪大学文学研究科・臨床哲学) 

司会:   

高橋綾(大阪大学 CO デザインセンター)


※学会参加費として常勤職4,000円、非常勤職・学生2,000円が必要です。

 参加申し込み締切りは20219324時です。

※詳しい参加情報は、日本哲学プラクティス学会ホームページ(https://philopracticejapan.jp/meeting/)をご覧下さい。


開催案内(2021年9月5 日)第3回日本哲学プラクティス学会・ワークショップ

第3回日本哲学プラクティス学会

ワークショップ:医療現場の「話し合い」と哲学プラクティス

日時:2021年9月5日(日)13:30〜15:00 ※オンライン開催


今日の医療では、治療方針の説明や決定に際して、医療者(医師・看護師・ソーシャルワーカーなど)と患者・家族との話し合いがますます重視されつつあります。ところが実際の医療現場において、多くの場合これを十分な仕方で実現しているとは言い難く、様々な齟齬(ディスコミュニケーション)やモヤモヤを残したまま「説明した/されたことになっている」「話し合ったことになっている」のが現状です。これは、医療を提供する医療者・提供される患者や家族の双方にとって、是非とも(解決・解消とまでは言わないにしても、少なくとも)解きほぐしたい医療の課題と言えるでしょう。ここには、高度に発達した医療の専門化システムや病院組織の問題が背景にあると考えられます。そうした背景を踏まえた上で、関係する人々が納得のいく「話し合い」の場を作る工夫が求められます。哲学プラクティスが「対話する(=話し合う)力」を模し試みる活動だとすれば、この医療現場における課題や工夫に対して何かヒントを提示できるのではないでしょうか。

ワークショップでは、医療・福祉施設の関係者と意思決定支援を可能にする施設づくりを検討する立場から、服部俊子さん(大阪市立大学)にお話ししていただきます。その上で、少人数による哲学対話(ソクラティク・ダイアローグ)の進行役を務めてきた堀江がコメントを加え、最後は「医療現場における話し合いの困難と工夫」についてディスカッションを行いたいと考えています。


報告者:服部俊子(大阪市立大学)

コメンテーター:堀江剛(大阪大学)


※学会参加費として常勤職4,000円、非常勤職・学生2,000円が必要です。

 参加申し込み締切りは20219324時です。

※詳しい参加情報は、日本哲学プラクティス学会ホームページ(https://philopracticejapan.jp/meeting/)をご覧下さい。


開催案内(2021年9月4日)2021年度日本哲学プラクティス学会プレ企画

2021年度日本哲学プラクティス学会プレ企画

ワークショップ「いろんな精神的・身体的コンディションにあるひとたちが語りあう場とは?」

 

日時:94日(土)19:0021:00 ※オンライン開催

 

「対話」ということばが、近年、さまざまな場所で使われるようになりましたが、精神科デイケア、自助会、作業所に集うひとたちが、安心してたがいについて話しあえるための場づくりに、どのようなおもしろさや、苦労があるでしょうか。 現場に関わるひとたちによる具体的な話題を出発点に、さまざまな不安定さや苦労を生きること、それらに関わりながら生きること、そのなかで対話の意味することについて、参加者するみなさんとともに、ゆっくりかんがえます。

 

進行 ほんま なほ(大阪大学COデザインセンター)

話題提供者

   小村絹恵(一般社団法人イケダ大学理事)

   山森裕毅(大阪大学COデザインセンター)

   ほか


お申し込みは以下の哲学プラクティス学会ホームページ(https://philopracticejapan.jp/meeting/)、大会情報(次回の大会)をご覧下さい。

*大会への申し込みがなくてもプレ企画には参加いただけます。プレ企画にご参加の場合は、大会の参加申し込みとは別の指定のフォームからお申し込みください。お申し込みいただいた方には、当日のURLをプレ企画開催者から通知します。