2022年8月18日木曜日

【刊行物のお知らせ】小西真理子、河原梓水編著『狂気な倫理ー「愚か」で「不可解」で「無価値」とされる生の肯定』(2022、晃洋書房)

小西真理子准教授が編著者を務める論文集が8月末日に刊行されます。


【著書説明】

愚かな人生はある。不可解な生活もある。無価値な生もあるだろう。          しかし/だから、狂おしい思いで、その狂える倫理を書きとめる。何かが狂う。何かが正される。そして何かが動きだす。若き友人たちの本ができあがった。

ー小泉義之(立命館大学名誉教授)


【目次】

まえがき(小西真理子)


  第Ⅰ部 「愚か」な生を肯定する――家族論再考

第1章 「不幸」の再生産――世代間連鎖という思想の闇(小西真理子)
 はじめに――自分の子どもに同じ想いをさせたくない
 1 児童虐待における世代間連鎖という思想
 2 加害者予備軍という烙印
 3 被虐待経験者の中絶と胎児の無化への抵抗

第2章 「カサンドラ現象」論――それぞれに「異質」な私たちの間に橋を架けること(髙木美歩)
 はじめに
 1 カサンドラ現象の歴史とその主張
 2 ASANによるカサンドラ現象批判
 3 近代における「愛」とコミュニケーションをめぐる規範
 4 「正常」なるものへの批判
 おわりに

第3章 ケア倫理における家族に関するスケッチ――「つながっていない者」へのケアに向けて(秋葉峻介)
 はじめに
 1 ケア倫理とフェミニズム
 2 ケア倫理における家族
 3 「ドゥーリア」モデルの見落とし
 4 それでもなぜ家族なのか
 おわりに――「家族倫理」のゆくえ

第4章 「私の親は毒親です」――アダルトチルドレンの回復論の外側を生きる当事者を肯定する(高倉久有・小西真理子)
 はじめに 毒親概念による救済――ミナさんのライフヒストリー
 1 AC概念の特徴
 2 毒親概念を肯定する
 3 毒親概念批判への応答
 おわりに

第5章 生み捨てられる社会へ(貞岡美伸)
 はじめに
 1 小泉義之著『生殖の哲学』から
 2 「生み落とせない」事態
 3 生むことへの方策
 おわりに

  第Ⅱ部 「不可解」な生を肯定する――周縁からのまなざし

第6章 狂気、あるいはマゾヒストの愛について――一九五〇年代『奇譚クラブ』における「女性のマゾヒズム」論を読む(河原梓水)
 はじめに
 1 吾妻新と古川裕子
 2 「夜光島」という思考実験
 3 ユートピアの成立
 4 マゾヒストの愛
 5 近代性の要求と免罪
 おわりに

第7章 戦後釜ヶ崎の周縁的セクシュアリティ(鹿野由行・石田仁)
 はじめに
 1 「釜ヶ崎銀座」界隈
 2 飛田本通り商店街界隈
 3 新開筋商店街界隈
 4 飛田遊郭大門・「地獄谷」界隈
 おわりに

第8章 ひきこもりから無縁の倫理、あるいは野生の倫理へ(小田切建太郎)
 はじめに
 1 山ゆかば――Pの経験から
 2 居場所の無縁性
 3 無縁の倫理、あるいは野生の倫理
 おわりに

第9章 動物と植物と微生物のあいだ――『妖怪人間ベム』があらわす反包摂の技法(山本由美子)
 1 『妖怪人間ベム』はいまだ読み解かれていない
 2 『妖怪人間ベム』の来し方
 3 「妖怪人間」とバイオテクノロジー――卵なき誕生
 4 母なき繁殖――攪拌と分岐
 5 動的編成――性なき遺伝的乱行
 6 人間になりたい、いや、人間にはならない
 7 失踪の後――来るべき他者

  第Ⅲ部 「無価値」な生を肯定する――障害と優生思想

第10章 看護再考――〈大人〉たちへのアンチテーゼ(柏﨑郁子)
 はじめに――〈大人〉たちの愚かさを拒絶する
 1 看護師が行う看護という概念の構築
 2 ナイチンゲールをあらためて読む
 3 vital powersを助ける
 4 〈老人〉の沈黙に学ぶ
 おわりに――無条件の善のための〈こまごま〉したこと

第11章 パラリンピック選手の抵抗の可能性と「別の生」(北島加奈子)
 はじめに
 1 パラリンピックの起源をめぐる言説と「客観的な」クラス分けがはらむ恣意性
 2 フーコーに見るキュニコス派の「別の生」
 3 パラリンピックにおける「別の生」の可能性とピアーズの「闘いの生」
 おわりに

第12章 脳・身体・音声言語――「正常/異常」の区別を越えて(田邉健太郎)
 はじめに
 1 前史――「二つの視覚システム」説
 2 音声言語処理の二重経路モデル――言語理解と身体性はいかなる経路で処理されるのか
 3 言語理解の解明に向けて――言語学と脳科学はどのような関係にあるべきか
 4 「正常/異常」の区別を越えて――言語学に対する批判
 おわりに

第13章 今いる子どもと未来の子どもをめぐる光と闇――先天性代謝異常等検査と出生前診断のもたらすもの(笹谷絵里)
 はじめに
 1 国民優生法と優生保護法における出生予防
 2 先天性代謝異常等検査の対象となった病気と出生前診断
 3 先天性代謝異常等検査の現状


あとがき(河原梓水)




2022年8月2日火曜日

イベント案内:国際シンポジウム「医療現場における哲学プラクティス」

国際シンポジウム「医療現場における哲学プラクティス」

日時:2022年9月1日(木)17:00-19:00
場所:Zoom

倫理学・臨床哲学研究室の元教授である中岡成文さんの「おんころCafe」(https://oncolocafe.com)が主催する国際シンポジウムです。発表者には、欧州で医療・福祉における哲学対話を実践している方の他、堀江や臨床哲学研究室の修了生の西村高宏さんも加わります。興味のある方は、是非ご参加ください。

参加費:無料
問い合わせ先:info@oncolocafe.com
言語:英語・日本語





2022年4月21日木曜日

開催案内(2022年6月1日):第7回臨床哲学フォーラム:研究者になるということー研究者と当事者のあいだでー(ふるいにかけられる声を聴く)

第7回臨床哲学フォーラム(ふるいにかけられる声を聴く)

テーマ:研究者になるということー研究者と当事者のあいだでー

主催:大阪大学倫理学・臨床哲学研究室

日時:2022年6月1日(水)17:00-19:30

開催方法:Zoom


2022年1月に出版された小松原織香著『当事者は嘘をつく』を起点として、著者である小松原さんが経験された「研究者と当事者」のあいだでの揺れ動きについて、そして、それでも研究者になるということが小松原さんのなかでどのようなことだったのか/どのような意味をもっていたのかということについてお話いただきます。いわゆる「当事者研究」とは少し違う、当事者が行う研究のあれこれについて、小松原さんといっしょにお話できればと思っています。学生さんや研究者の方はもちろん、何らかの「当事者」である方、小松原さんのご著書に感銘を受けられた方など、どなたでもお気軽にご参加ください。



【プログラム】

 

17:00-17:05 趣旨説明、登壇者紹介:小西真理子(大阪大学)

 

17:05-17:35「研究者になるということ:当事者と研究者のあいだで」

                      小松原織香(日本学術振興会特別研究員PD)

 

17:35-17:45 質問者①鈴木萌花(大阪大学院生)

 

17:45-17:55 質問者②吉田裕香(大阪大学院生)

 

17:55-18:05 質問者③二宮晃紀(大阪大学院生)

 

18:05-18:15 質問者④六郷颯志(大阪大学院生)

 

18:15-18:35 院生コメントへの応答

 

18:35-18:50 休憩

 

18:50-19:30 小松原さんへの質疑応答



◆参加希望者は、以下の Google フォームからご登録ください。

https://docs.google.com/forms/d/135E2uL3o8qiNV5N0v-nLA-y8kOIxd9UnPUSekWOryHU/edit

◆問い合わせ先: mariko.konishi@let.osaka-u.ac.jp

※2022年5月29日(日)をもって、上記フォームからの受付は終了いたしました。


2022年3月28日月曜日

臨床哲学ニューズレターvol.4 についてしゃべる会

このたび、大阪大学大学院文学研究科(臨床哲学)修了生の中川雅道さんに、20223月に刊行された「『臨床哲学ニューズレター』vol.4についてしゃべる会」を企画していただきました!本号の「組織と対話」特集には、企画者・中川さんのご論考「祈り、あるいは組織と対話のつながりについて」も収録されています!!みなさまお気軽にご参加下さい。


以下、案内文です。

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大阪大学文学研究科文化形態論専攻博士後期課程臨床哲学専門分野修了生神戸大学附属中等教育学校教諭育児休業中の中川です。

漢字が並ぶって面白いですね。

この度、臨床哲学ニューズレターが発刊されましたね。編集に関わった方々、本当にお疲れ様です。

 

臨床哲学ニューズレター第4号(2022)

 

私も投稿させていただきました。

書いただけでは飽き足らずやはり、いろんな原稿についていろいろと多くの人たちといっしょに考えたいという目標を達成するために

「 臨床哲学ニューズレターvol.4 についてしゃべる会 」を企画しました。 

2022420 19:00から90分の予定です。

p4c Hawai'i の流儀、すべての人への敬意を忘れない、ということを守って、楽しくしゃべってみませんか?

当日は、とくに進行は考えていません。話したい人が話したいトピックについて話し続ける予定です。

 

グーグルフォームにメールアドレスを入力していただければ、zoomリンクを送付いたします。

(個人情報はしゃべる会のzoomリンク送付以外には使用しません)

 

気軽にお越しください。よろしくお願いいたします。


2022年3月1日火曜日

臨床哲学ニューズレター第4号(2022)

表紙

目次 1

『臨床哲学ニューズレター』vol.4への巻頭言  小西 真理子(3


【特集1】 第3回臨床哲学フォーラム(シリーズ:ふるいにかけられる声を聴く)

テーマ「書くことと、考えること、行動すること」

第3回臨床哲学フォーラム

「書くことと、考えること、行動すること」の特集にあたって 桂ノ口 結衣(5

講演:「書くことと、考えること、行動すること」あるいは対話と社会運動のためのキリスト教的・フェミニズム的論述  栗田 隆子(8

栗田隆子さんへの感想文① すえざわ くりこ(21

栗田隆子さんへの感想文② 井上 瞳(23

栗田隆子さんへの感想文③ S. Tsubasa24

栗田隆子さんへの感想文④  小西 真理子(25


【特集2】 第4回 臨床哲学フォーラム(組織と対話)

テーマ「組織に関わる悩み・違和感」

第4回臨床哲学フォーラム

「組織に関わる悩み・違和感」の特集にあたって  堀江 剛(27

祈り、あるいは組織と対話のつながりについて 中川 雅道(30

福祉職員の「感覚」  菊竹 智之38

組織と対話についての不都合な真実:なぜ生協理事会は組織に関わる人の違和感をスルーしなかったのか?  高橋 綾・ほんま なほ(44


【特集3】 〈応用〉することの倫理――緊縛シンポ、ブルーフィルム、ジェンダー

「〈応用〉することの倫理――緊縛シンポ、ブルーフィルム、ジェンダー」特集にあたって 小西 真理子(54

ピーター・シンガーはなぜあれほど憎まれてしまったのか?:哲学分野における〈応用〉的試み初期の倫理問題を再訪する  奥田 太郎(56

緊縛研究と哲学者――京大・緊縛シンポとは何だったのか  河原 梓水(69

研究者による当事者加害の「その後」を考える:緊縛シンポをきっかけとした研究倫理〈再考〉の断片 小西 真理子(85

旅館で本を読む哲学者:水俣への哲学的アプローチの方法をめぐって 吉川 孝(97

ワークショップへの感想文①「倫理学者という「権力者」になるにあたって」 中村 達樹(117

ワークショップへの感想文②「当事者の夢想に引きずられない歴史分析を」 小竹 由剛(118

ワークショップへの感想文③「緊縛シンポ事件の伏線――構造的責任を考える」 大隈 楽(119

ワークショップへの感想文④「誰にとっての倫理か」  Trin121

ワークショップへの感想文⑤「緊縛シンポジウムの学術批判への対応について」 匿名希望(122

ワークショップへの感想文⑥  神沢 美津穂(123

ワークショップへの感想文⑦ 匿名希望(125


臨床哲学の書きもの

「毒親」概念の倫理――自らをアダルトチルドレンと「認める」ことの困難性に着目して  高倉 久有・小西 真理子(126

フェミニズム臨床哲学とクリエイティヴ・ライティング ほんま なほ(181


研究室主催イベント&アセンブリアワーの記録 196

執筆者一覧 198


※原稿の訂正の必要性から、2022年4月12日に【特集3】の大隅論考、【臨床哲学の書きもの】の高倉・小西論考とほんま論考のデータ差替えを行いました。以降は「データ差替え」が難しくなる旨をご了承いただけますと幸いです。




2022年2月9日水曜日

開催案内(2022年2月14日・15日):2022 慶北大学・大阪大学国際共同シンポジウム

 2022 慶北大学・大阪大学国際共同シンポジウム 

主催:慶北大学哲学科第4段階 BK21 事業葛藤解決哲学専門家養成教育                           研究チーム 大阪大学大学院文学研究科臨床哲学研究室

日時:2022年2月14日(月)・15日(火)

開催方法:Zoom


◆この国際共同シンポジウムは、2月15日(火)のみ公開とします。
参加を希望される方は、2月12日(土)12時までに堀江(thorie@let.osaka-u.ac.jp)に連絡くださるようお願いします。折り返し、発表要旨集とZoom情報を連絡します。

2021年12月30日木曜日

第6回 臨床哲学フォーラム:『受容と回復のアート』を読む(1/12)

 開催案内

2022年1月12日(水)17時〜19時

大阪大学全学教育総合棟1(3階)COデザインスタジオ

第6回 臨床哲学フォーラム

『受容と回復のアート』を読む

*対面とオンラインを併用します。(オンライン参加申し込みはこちらから



2021年6月に、アートミーツケア学会叢書第3巻として『受容と回復のアート』(ほんま なほ監修、中川 眞編集、生活書院)が出版されました。(詳細情報はこちら

「この巻におさめらた書き物は、それぞれのしかたで、どうにもならないものとわたりあっています。それぞれがえがく受容も回復も、医療や福祉のことばで語られるものとは、ちがったものとなるでしょう。それはけっして、アートによって癒されるとか、治療の代わりなるとかではありません。ケアをするとは、注意をむけること、応答のしようのないことにも応答しつづけることであり、このシリーズでは、通常の意味での受容と回復とはことなるべつの視点から、アートにふれることがもとより計画されていました。読者のみなさんは、ここに書かれたそれぞれのことばにみちびかれて、なにかに打ち勝つことも、乗り越えることもなく、それでも生きつづけることをえらんできたひとたちの足跡をたどるでしょう。よくなること、うけいれること、もとにもどること、そのいずれでもない。しかし反対に、生きること、生きつづける日々の選択が、それらのことばの意味そのものをかえてしまう。受容と回復の意味をかえること、かえつづけること、それこそが生の問いかけとしてのアートであり、本巻がめざすものです。」 

(本書「監修者のことば」より)


ひとが、いちばんしんどいときに、生きるための表現とは、
どのようなものでしょうか?
そして、そのような表現をささえている、ひととひとのあいだの関係とは、なんでしょうか?
そうした、ひととひとのあいだの関係から、なにがきこえてくるのでしょうか?


このフォーラムでは、
ゲスト・スピーカーの声にみちびかれて、本書につづられた思いをひろい読みしながら、表現する、つくる、生きる、ひととひとがつながる、ということの意味や可能性について、ゆっくりとかんがえ、声をつむいでいきます。
受容する、回復する、とはどういうことなのか、ケアするとは、いったい、なにを意味しているのか、について、あらためてかんがえる機会を、今後も継続してもちつづけていきたいとおもいます。

スピーカー

  佐藤 靜(倫理学、大阪樟蔭女子大学)

  樅山 智子(作曲家、マイノリマジョリテ・トラベル・クロニクル実行委員会代表)

  小西 真理子(臨床哲学、大阪大学)

進行

  ほんま なほ(大阪大学)