第3回日本哲学プラクティス学会
シンポジウム:哲学プラクティス連絡会・哲学プラクティス学会共同企画 「哲学プラクティスの倫理」
日時:2021年9月5日(日)15:15〜17:45 ※オンライン開催
さまざまなところで哲学対話を行う実践が広がってきており、哲学対話が導入される領域やその目的、進行の仕方は実践する人によって異なりますが、哲学対話が、多くの人が参加し、自分について語り、交流する活動であるかぎり、対話の中やその前後で、対人関係のトラブルや発言による傷つきなどが起こる可能性があり、実際にそうしたことが問題になっているケースも存在します。また、教育現場や企業組織等、社会のいろいろな場所で哲学対話を行っていくにあたって、それが行われる場や組織の文化や仕組みとの齟齬をきたす場合もあります。
また、社会の様々な場所で哲学対話を行なっていくことは、対話や効果の質保証、アフターフォローや介入の知恵、導入される組織との協働の仕方、謝金のもらい方等、研究とは異なる実践者としての倫理や責任、知恵の蓄積が求められることでもあります。海外では、こうしたノウハウを持つプラクティショナーと、研究者とは一部重なりはしますが、一線が引かれています。日本では、哲学対話や哲学プラクティスを紹介した人々の多くが大学の哲学研究者であったことや、大学の哲学・哲学研究者のアウトリーチ活動と見做されることもあるため、哲学対話を実社会に導入し根付かせるための実践的な配慮や倫理、知恵の構築はなおざりになっているところがあるように見受けられます。このような実情は、実践者や現場の視野からは顕著である場合でも、研究者側の視野からは見えづらくなっている場合もあるのではないでしょうか。
このシンポジウムの目的は、社会のなかで哲学対話を行っていく上での倫理や責任について考えることではありますが、哲学プラクティスの倫理についての統制的なルールを策定することではありません。一般市民向けの哲学カフェ、教育現場での哲学対話、研究者が現場や実践に関わるときといったテーマで、現在はそれぞれが苦慮しながら対応している問題を共有し、対応する知恵(対応のしかたは、目的に合わせて多様でありえます)について交換すること、また、それを通じて、哲学対話を社会に根付かせるために、哲学プラクティショナーが果たすべき責任や倫理の問題について意見を交換したいと思います。また、哲学研究者の実践や現場への関わりについても、実践者・現場の人の様々な事情について丁寧に共有し、協働するしかたについて考えます。
登壇者:
山本和則(カフェフィロ)
小川泰治(宇部工業高等専門学校)
小西真理子(大阪大学文学研究科・臨床哲学)
司会:
高橋綾(大阪大学 CO デザインセンター)
※学会参加費として常勤職4,000円、非常勤職・学生2,000円が必要です。
参加申し込み締切りは2021年9月3日24時です。
※詳しい参加情報は、日本哲学プラクティス学会ホームページ(https://philopracticejapan.jp/meeting/)をご覧下さい。
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